言語・語学
社会人の心得として,「TPO をわきまえる」ということは,よく言われるものである.私でさえ,そういったものを意識しないと,なにかと立ちゆかないことは理解しているつもりである.ここで,TPO は「時」「所」「場合」 の意味で,time, place, occasion を…
携帯端末を買い換えたと同時に,それを保護するための入れ物も新調した.そこで謳われていたのが,製品に手指が「シンデレラフィット」するということであった.成書の国語辞書やカタカナ語辞書,俗語辞書でこれを載せるものはいまだ見つからないが,『実用…
規則正しい生活の重要性は承知していても,休みの日などは,特に何も用事がないのであれば,昼前ぐらいまで寝ていたいものだ.そのような人に向かって使えそうなあいさつのことばに,「おそよう」がある.これは,「おはよう」をもじったことばで,遅くにな…
「解禁」には,文字通り,これまでの禁止を解除することだけではなく,より比喩的な意味でも使われるようになった.この点について,『三省堂国語辞典』は第八版で「解禁」の項を手入れしている. 「①禁じられていた状態をなくすこと」という,旧版にもあっ…
いままで,「からい」という言葉を,唐辛子などの刺激が強いことのみならず,塩辛いという意味で,普通に使ってきた.例えば,必要以上に塩味の強い料理は,「だだ辛い」と評してきたものだった.しかし,あるツイートを通じて,それがどうも西日本*1の表現…
ふと,「でもしか」という言葉や,これに対応する英語の表現が気になったので,調べてみた結果を備忘録を兼ねて残しておく.少し意味がずれるかもしれないが,どうやら by default あたりがよさそうだ.関連して,by design という句も学べた.
予定通り,フッ素 9F に関する思い出を,辞書を参照しつつ振り返ってみる.生徒であったころ,ある化学の試験でいちびって,「弗素」と回答欄に書き,「氵」を赤ペンで書き入れられたことがある.もちろん,「沸素」ではなく「弗素」が妥当なのだが,たとえ…
今に至るまで,さまざまな形で,元素の周期表に接してきた.そこで,元素を一つ一つ取り上げて,それに関して経験したあれこれについて書き,辞書を頼りに補足することにした.第一弾は硫黄 (16S) である.
何事にも,浮き沈みや,栄枯盛衰がつきものである.これは洋の東西を問わないだろう.実際に,日本語にも,英語にも,関連する表現は多くあり,中には考え方が共通しているように思えるものがある.たとえば,両語には,物事の消長を月の満ち欠けになぞらえ…
今日も今日とてタイムラインを眺めていたところ,「壁打ち」という語に遭遇した.文脈からすると,どうやら,球技の練習ではなく,SNS における何らかの行動を指しているようだったが,意味がとれなかった.そこで,われらが (?) 『三省堂国語辞典』第八版を…
「みば」は「みばえ」の縮まった,あるいはくだけた形かと思い込んでいたが,どうもそうではないようだ.多くの国語辞書では,これらを別個に立項している.たとえば『三省堂国語辞典』第八版では,「みば[見場]」を「見かけ」「外観」,「みばえ[見栄え…
iOS を更新してから,iPhone のロック画面に月相を表示させている.昨日ツイートしたように,今日(新暦 2/4)を含め,ここ数日は*1の図とともに,「十日夜」と表示されている.しかし,「十日夜とおかんや」は陰暦 10/10 夜の行事を指し*2,仮に一般の陰暦 …
今日は節分であった.出来合いのものではあるが,私も恵方巻きを口にした.さて,諸説はあるが*1,この風習は近年の大阪に発祥のものらしく,全国的に普及したのは最近のことのようだ.長い伝統があるものではないにせよ,関西になじみの深い私にとっては昔…
「あわよくば」は,私が普段何気なく用いる言葉ではあるが,成り立ちや英語などの他言語で対応する表現については,あまり考えたことがなかった.そこで,辞書を引くことにした.成り立ちは,文語形容詞「間(あは)よし」の未然形+助詞「ば」であるという…
「印鑑」は役所などに届け出た模様(印影)で,「印章」は印影を紙につけるために,彫刻が施された道具であるという言説にときどき接する.今日も,TL でそのような主張を見かけた.そのときには,私はこれとは異なる見解のツイートとともにリツイートするに…
そういえば,今日は「プレミアムフライデー」だった.記事のネタを探しに,今日が何の日か調べていたときに知った.鳴り物入りで始まったキャンペーンだったが,もはや忘却の彼方という人も多いのではないだろうか.さて,この取り組みは 2017 年に始まった…
このあたりには珍しく*1,雪が降り積もった.ライブカメラを見ても,どこもかしこも銀世界だった.ここで,「銀世界」は英語でどう言えるか.少し調べてみた. *1:とはいえ,それほど長い年月を過ごしてきたわけではないが.
伝え聞きではあるが,「過去一」という表現に接した.俗語か若者言葉*1のようで,私には使いにくいが,文脈から,「これまであったなかで一番」の意味であることは理解するし,実際に,Web 検索するとそのような紹介をするページが見つかる.しかし,どうい…
「N 進法で表された数」のことを,縮めて「N 進数」と呼ぶことがある.これについて,こってりとした語釈に魅力がある*1小型国語辞書『新明解国語辞典』第八版*2には,一家言*3があるようだ.同辞書は,「進法」を造語成分として立項するが*4,その語釈中で…
数学や哲学などの学術用語が,日常語として転用されている例はいくつかある.表題に挙げた,期待値,同類項,方法論も,それに含まれる.「期待値」は,確率論における用語としてのみならず,「期待する度合い」(e.g. 「―が高い」「―が上がる」,『三省堂国…
なぜかはわからないが,ふと「一日○○長」という言い回しが浮かんだ.「一日署長」「一日駅長」のような,著名人が PR などの一環で務める役目のことである.『新明解国語辞典』第八版は,この意味の「一日」を造語成分として取り出し,「その日一日だけに限…
ふとしたきっかけで,「好きこそ物の上手なれ」*1を英語でどう言うかが気になった.和英辞書に載っているので,それでよしとしてもよいのだが,そこに載っている言い回しは,どうも英語圏で通用しているのかよくわからなかった.そこで,もう少し調べてみた…
瞬く間に三が日を終え,今日から活動 (?) を再開している.昨年の積み残しを含め,年始からやるべきことは多いが,一つずつこなしていきたい.実際にそのとおりやすやすといくかは別として,そう宣言しておくだけでも,言霊とまでは言わないまでも,気の持ち…
2020 年も,残り少なくなりました.この記事では,私が本年に購入した本のうち,10 冊を取り上げ,記録を兼ねて簡単に紹介します.主に,コンピュータ・プログラミングとことばに関する書籍が主となっています.
普段,私は何気なく英語を使っていますが,これまでどういった場面で,あるいはどういう形で英語と接してきたのか,振り返ってみたくなりました.この記事では,私の英語との付き合い方について,今後の展望も含めて,思いつくまま書いてみたいと思います.
私が初めて手にした,一般向け小型国語辞典は『旺文社国語辞典』だった.この辞書に関する思い出を書こうと,ふと思い立ったため,さっそく実行に移すことにした.
私たちが幼いときから慣れ親しんでいる言葉遊びの代表例として,なぞなぞがあります.いくつかの国語辞典の語釈を見ると,さまざまななぞなぞの例が挙げられていることが分かります.この記事では,そのような例を紹介します.
「空気や湿気にさらされたせいで,物品が劣化・変質してしまう」ことを指して,「〈物品が〉風邪を引く」と表現することがあります.私はこれが普通に通用するものだと思っていましたが,インターネットで少し調べた限りでは,必ずしもそうではないことが分…
私が持っている主な国語系(国語辞典・成語辞典)および英語系(英英和辞典)の紙辞書のうち,品切れ重版未定(あるいは絶版)になってしまっているものの,特徴や入手経緯について述べます.新刊書店の実店舗や,古本屋などでの辞書選びに役立つかもしれま…