はむ吉(のんびり)の練習ノート

プログラミングとことばに関する話題を中心に,思いついたこと,試してみたこと,学んだことを,覚え書きを兼ねてまとめます.その際に役立った,技術書,参考書,辞書,機器などの紹介も行います.

2021 年,書棚に迎えた本 10 選:ことばに関する本を中心に

2021 年も,残すところあと数時間となりました.この記事では,私が本年,書棚へ迎えることができた本のうち 10 冊をとりあげ,備忘録を兼ねて簡単に紹介します.ことばに関連する書籍が主となっています.

はじめに

時が経つのは年々早く感じられるもので,あっという間に一年を締めくくる時期が訪れました.状況は刻々と変化しているものの,昨年からの事象は引きつづき私の生活に影響を及ぼしており,それには良い面も,悪い面もあります.いろいろな手続きのオンライン化やペーパレス化が進み,身体的な負担が軽減している一方で,そこはかとない閉塞感や,なかなかギアの上がらない自分自身に対する焦りと無力感,周囲のあれやこれやもあり,精神的には疲れが増している面もあります.何はともあれ,本年も概ねつつがなく過ごせたと思えることを,感謝したいものです.そのように,いろいろとあった 1 年でも,ことばに関するものを中心に,相当な数の本を手にしました.本記事では,これらのうち 10 冊を紹介することで,本年の書籍生活を振り返ることにします.

国語系辞書

三省堂国語辞典』第八版

三省堂国語辞典』第八版は,私が今年購入した本の中で,特に「効用」が高かったと感じているものとして,まっさきに挙げられます.iOS 用アプリ「辞書 by 物書堂」におけるコンテンツが発売された際に,即座に購入したのみならず,ほどなくして紙辞書(小型版)も書店にて買いました.それからというものの,Twitter 上で,この辞書について気づいたところを投稿し続けている日々です.すでに指摘されているように,一部の語釈などに,これはどうかという面も確かにあるものの,あくまでも私の考えでは,言語生活において,痒い所に手が届く辞書であるといえます.ことばの「鏡」として,最近広まった語や意味も多く載せるのみならず,由来や用法等に関する補注や,アクセント表示なども拡充されました.長く愛用したいものです.

明鏡国語辞典』第三版

明鏡国語辞典』第三版も,電子版と書籍版が発売されるやいなや,ただちに購入した一般向け国語辞書でした.こちらは,かなり大雑把に言うと,いわゆる「誤用」も含め,ことばの「鑑」としての定評がある一冊です.とはいえ,改版によってこれらの記述も一部修正されるなど,ただ規範に固執するのではなく,新語・新用法を含め,ことばの現状にも目を向けているのは確かです.「✨品格✨」欄も,もう少しコーナー名のつけ方はなかったのだろうかと思わないことはないものの,発信力を高めるための取り組みとしては有用でしょう.この辞書も,毎日のように引いています.

『デイリーコンサイス国語辞典』第 6 版

『デイリーコンサイス国語辞典』第 6 版は昨年以前に出版されました.これまで実用よりの辞書はあまり積極的に集めてこなかったのですが,ふとしたきっかけで購入することにしました.実際のところは,携帯性,実用性を確かに意識した判型や構成となっているものの,それにとどまらない魅力があるようです.アクセント表示や,豊富な補注のほか,比喩表現に特別な記号を与えるといった配慮がみどころです.いまだになかなか難しい情勢ですが,旅行等の際に,鞄に忍ばせておきたい一冊です.

『旺文社標準国語辞典』第八版

ふだん中高生向け国語辞書はあまり進んで手にしないのですが,後述するいきさつもあり,購入しました.「仕組みの解明」コラムで,動詞と助詞の組み合わせで生じる意味の差を説くほか,発信力を高める工夫として「類語表現コンシェルジュ」と題する付録を設けるなど,一般の言語生活にも有用です.また,購入の特典として,スマートフォン用のアプリが利用できるのもよいところです.折に触れて,引き比べの一環として利用しています.

『敬語のお辞典』

対外的なやりとりをする頻度が増える中で,敬語に関する参考書がもう少し欲しいと思い,この本を手に取りました.よくある敬語に関する指南本とは異なり,ひたすら語と用例を場面別に並べているのが特徴です.押しつけがましくなく,効率的に敬語を用いた会話例が学べる一冊です.隙間の時間などに,読み進めていきたいものです.

英語系辞書

『アドバンストフェイバリット和英辞典』

上級向けの学習和英辞書としてカテゴライズすべきでしょうか.類書と比べて,日本の事物に関し,英語での説明を重点的に与えるのが見所です.たとえば,各都道府県を相当な長さの英文で紹介します.そのほか,日本の文化にも詳しく,果ては「新世紀エヴァンゲリオン」まで立項されています.刊行後十数年が経ち,古びている面があるところは否定できないものの,今でも十分有用でしょう.

『詳説英語イディオム由来辞典』

英語のイディオムの中には,個々の単語から意味をとるのが難しいものが多く,手持ちの英語系辞書を紐解いても,由来がよくわからずもやもやしがちでした.そんな折,この辞書がそのような問題意識のもと編まれたことを知り,さっそく購入しました.調べものの一環として用いるだけではなく,適当にページを開くことでも,知的好奇心が満たされます.末永く活用したいものです.

辞書関連書籍

『比べて愉しい国語辞書ディープな読み方』

Twitter を通じて出版を知った際に,ただちに買い物リストに加えたのを覚えています.その名の通り,新語やいわゆる「誤用」だけではなく,得意分野,未収録語も含め,網羅的に比較されています.これは,著者による綿密な引き比べと用例採集に支えられたものでしょう.また,中学生向きの国語辞書についても紙面が多く割かれています.これが,上述の『旺文社標準国語辞典』第八版を購入したきっかけとなりました.国語辞書の初心者にも,使い慣れている方にもおすすめの一冊です.

『辞典語辞典』

その名の通り,個々のタイトルから編者,術語,さらには「ジャパネットたかた」に至るまで,辞書に関する多様な項目について,簡潔な文章とイラストで解説する一冊です.辞書作りにつきものの用例採集を体験できる付録がついているのもいいところです.ところどころにある自己言及的項目には,にやりとさせられます.辞書により親しむきっかけとなることでしょう.

その他

『年表茶の世界史』

あるタスクに取り組む際に図書館で手に取ったのが,この本との出会いでした.それから相当の年月が経ち,ふとこの本のことが気になり,購入しました.現在の「本業」とはほとんど関係がないのですが,なぜかそうせずにはいれなかったのです.古代中国から現代に至るまでの茶にまつわる歴史を年表形式で見通すのみならず,まとまった文章の形でも説明する一冊です.頃合いを見て,読み進めていきたいものです.

おわりに

上掲のものに限らず,今年も思いのほか多くの本に接することができました.いわゆる積ん読になっているものも多くありますが,順次読み進めていきたいところです.いろいろと忙しくなりそうですが,引き続き健やかに過ごしたいものです.本年もありがとうございました.よいお年をお迎えください.