「馬,牛,女」の思い出
「馬,牛,女」といっても,予言をするという妖怪のことでもないし,今はやりのソーシャルゲームのことでもない.ラテン語あるいはギリシャ語から英語に入った名詞のなかには,もとの言語由来の特殊な複数形をとることがあるが,それを覚えるためのものである.「馬」が -um → -a(e.g.*1, datum → data),「牛」が -us → -i(e.g., alumnus → alumni,以上二つはラテン語由来),「女」が -on → -a(e.g. phenomenon → phenomena,ギリシャ語由来)である.もちろん,-um, -us, -on で終わっていても,規則複数語尾 -(e)s がつく方が普通の場合もある*2.なぜか,Web や Twitter を検索しても,この覚え方に関しては,あまり記事や投稿が見つからないので,ここに書き留めておくことにした.
この覚え方を学んだのは,英語ではなく,歴史の授業でのことだったと記憶している.ラティフンディウム(羅:latifundium)が出てきたところで,これは名詞の単数形で,複数形は latifundia であること,同様の変化をする名詞は,英語にも残っていること,そして,ギリシャ語由来のものを含め,上述のように「馬,牛,女」と覚えられると教わったのだった.往々にして,授業は,その本筋よりも余談の方が記憶に残りがちだが,これもそうだったようだ*3.