「喜怒哀楽」について
四字熟語には,日常会話でふつうに用いられるもののもあれば,形式ばった,あるいは格調の高い文章ですら,なかなかお目にかからないものもあるだろう.「喜怒哀楽」は,どちらかといえば前者だろうか.毎日のように見聞きするものではないが,ちょっと気の利いたことを言おうとする際には,使用されうるだろう.『角川新字源』改訂新版によれば,これは四書の一つ『中庸』にあるという.語構成は「喜怒」+「哀楽」に一見思えるが,『新明解四字熟語辞典』第二版は「喜」+「怒」+「哀」+「楽」であるとする.さて,この四字熟語についてよく言われるし,私もときどき考えることは,「喜」と「楽」は同じようなものではないかということである.しかし,「悲喜こもごも」というように,「喜」は「悲」の対義語だし,かたや「苦楽」のように,「楽」のカウンターパートは「苦」であろう.そうすると,「喜」と「楽」は似て非なるようなものに思えてくる.ただ,もう少し詳しく言語化できないだろうか.引き続き辞書を繙いてみてもよさそうだ.